市場が小さい=伸びしろがある、これからも挑戦を続けていきたい
今後の目標は、コンブチャやプラントベースのグローサリーストアの知名度をさらに上げていき、次の展開につなげていくことです。
どちらも日本での市場はまだまだ小さいのですが、市場が小さいということは伸びしろがあるとも言えると思います。
チャレンジできる土壌を先代が作ってくれたと思って、これからも挑戦を続けていきたいです。
川口人
ものづくりの街のアイデンティティを次世代へ繋げる、創業100年企業の4代目社長
今回の川口人は、川口市領家にある「株式会社大泉工場」の代表取締役社長、大泉 寛太郎(おおいずみ かんたろう)さんです。
川口の地場産業である機械・鋳物工場を基盤に発展してきた歴史を持つ、株式会社大泉工場。
現在では、飲料や食品の製造・販売、カフェの経営、イベントの企画運営など、幅広い事業を展開されています。
新しい事業に次々と挑戦していくきっかけになった出来事とは?
そこには川口の「ものづくり」との大きな関わりがありました。
大泉工場の敷地「OKS((OIZUMI KOJO CREATE SMILE))CAMPUS」
本社敷地内にコンブチャ専門のブルワリーやカフェ、自然豊かなガーデンがあり、どなたでも利用可能。
1917年に創業した、株式会社大泉工場にて、代表を務めています。
大泉工場では、「地球を笑顔で満たす」の経営理念のもと、既存の枠にとらわれないような様々な事業を手掛けています。
「_SHIP KOMBUCHA(コンブチャ)」は、農薬を使わずに栽培したお茶や原材料を使用し、果汁や香料、保存料などは一切添加せず醸造している、有機JAS認証を取得した日本のコンブチャブランドです。
日本では昆布茶と混同されることがありますが、コンブチャと昆布茶はまったく別の飲み物なんですよ。
お茶に糖類を加え、酢酸菌と酵母から生まれた『SCOBY(スコビー)』を入れて発酵させた植物由来の微炭酸飲料「発酵スパークリングティー」です。
発酵が生み出すフルーティな酸味と爽やかな飲み口が特徴です。
海外では、カフェやスーパーマーケットなどで気軽に手に入るほどポピュラーなドリンクで、ほかの発酵食品と同じように、腸内環境を整える働きから、免疫力強化やアンチエイジングなどの効果を期待して、健康でアクティブな暮らしを求める人たちに人気のドリンクなんです。
大泉工場の敷地内にある「1110 CAFE/BAKERY」は、「地球を笑顔で満たす」ための方法である「自然」「生活」「身体」の美しい環境をつくるために、オーガニックかつ植物由来(プラントベース)にこだわった、身体にも地球にも優しいベーカリーカフェです。
パンも料理も、全て手作りでご提供させていただいております。
国登録有形文化財の日本家屋を教室に使用している学び舎「JUKUBOX」は、”自然と調和したwell-beingを探究する、ココロ踊る学びの場"がコンセプト。「食」「暮らし」「文化芸術」の3つをテーマに、講座を展開しています。
また、敷地内や川口の赤井に「大泉農場」があり、農薬を使わずに育てた野菜はカフェのサラダに利用したり、_SHIP KOMBUCHA BREWERYやカフェから出た、お茶がらやコーヒーの粉などの残渣を肥料化し、その肥料でまた野菜を育てる循環型農業を行っています。
このように、様々な事業を手掛けていますが、一言で「素敵な環境を創っている会社」とご紹介しています。
大泉工場は、川口の地場産業である機械・鋳物工場を基盤に発展してきましたが、わたしが入社した2008年には、製造業から完全に手を引いていました。
当時社長だった、現会長の母から「空いている工場を何とかしたい」と持ちかけられ、ロケ地として貸し出す「レンタルスペース事業」をスタートしたのが、新しい時代の始まりです。
川口は、先祖代々が事業をする場所でありながら、わたし自身は川口に住んだことも働いたこともありませんでした。
ですが、地元の方々と定期的に交流し、川口の歴史などを改めて伺う中で、自社の価値はもちろん、川口の魅力を再確認したんです。
でもその一方で、川口の産業の「現実」がものすごくもったいないと感じていて。
歴史ある鋳物工場があった川口で、職人さんたちと一緒に、川口のアイデンティティである「ものづくり」を中心とした事業を立ち上げ、川口を世界のKAWAGUCHIにしていく。
それができたら面白いなと感じました。
そうした経緯があったからこそ、大泉工場で、一度は途切れた「ものづくりの空気」を蘇らせたいという想いが湧き上がり、新規事業への挑戦に繋がりました。
コンブチャは、お茶の抽出から発酵、ボトリングまで、職人の手で丁寧に時間をかけて醸造。
緑豊かなガーデンが目の前に広がる1110 CAFE/BAKERY。
数々の事業を立ち上げてきましたが、根底で自分が「ワクワク」するモノ・コト・ヒトとの関わり合いを大切にしてきました。
創業100年を超える歴史の中で、幾人もの人が繋いできてくれたバトンを次世代に繋ぐために、また新しいことを始める。
これは自分自身や、今の大泉工場にいてくれているスタッフの使命と言っても過言ではないと思っています。
新しく始めたことが「カルチャー」として根づき、人々の笑顔に繋がり続けることを意識して事業を展開しています。
工場として使われていた倉庫、現在はみんなが集まれる場所として開放。
敷地内の大泉家住宅の洋館を本社事務所として活用。
「川口のココが好き!!」…一言で説明するのは難しいな…。
わたし自身、川口に住んだことは無いのですが、愛着はめちゃくちゃあって。
「ココが好き!」と一言で説明するのが難しいのですが、1つ、とても心に残っている出来事があります。
入社してすぐ、当時大泉工場の会長だった祖母に、川口市内の様々な歴史のある、由緒正しき企業さんを案内してもらいました。
その際、そこにいらっしゃる名だたる諸先輩がたが、とても温かく迎えてくれたんです。
皆さん、大泉工場の先代にお世話になったからと。
そのことがとても嬉しく、同時に責任感も生まれました。
そういった人々が温かいということが、川口のすきなところではあるのですが、もう1つ、川口という街・造られるプロダクトについて職人の皆さんに訪ねたときに、「職人気質(な街/プロダクト)」と答える人が多くて。
その皆さんの答えが、自分にすごく刺さったんです。
「職人気質」だったり「職人魂」って目に見えないものじゃないですか。
それなのに多くの人々が、共通認識として持っている、これってすごいことだと思いませんか。
「モノや場所」自体の魅力だけではなく、そのモノや場所を取り巻く「ストーリー」の発信が重要な今の時代に、「職人気質」が根付く川口というのは、合っている気がして。
時代や人が変わっても、職人の気質が脈々と受け継がれている、そんな川口が好きです。
過去には大泉農場で夏野菜収穫体験を実施。
「面白いことがたくさんできそうだなあ」と思っているグリーンセンター。
まずは、「大泉工場」!
川口市赤井にある「大泉農場」もこれから色々新しいことを始めようと思っているので、ぜひ注目していてほしいです。
他では「川口市立グリーンセンター」、色々なことができそうだなあと行くたびに可能性を感じる場所です。
あとはサウナ好きなので「スパロイヤル川口」と、おもしろいことをどんどん始めている「喜楽湯」。
それと川口の町工場から生まれた「AERO CONCEPT(エアロコンセプト)」は航空機部品の製造技術を応用したプロダクトをハンドメイドで作っていて、とてもかっこいいんです。
実際にわたしも使っています。
今後の目標は、コンブチャやプラントベースのグローサリーストアの知名度をさらに上げていき、次の展開につなげていくことです。
どちらも日本での市場はまだまだ小さいのですが、市場が小さいということは伸びしろがあるとも言えると思います。
チャレンジできる土壌を先代が作ってくれたと思って、これからも挑戦を続けていきたいです。
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。