川口人
小松和人さん(木製玩具製造・販売会社 代表取締役)Vol.35
「川口のものづくりを次の世代へ繋げたい」木製玩具製造・販売会社の代表取締役
今回の川口人は、領家にある「株式会社こまむぐ」代表取締役の小松 和人(こまつ かずと)さんです!
小松さんのご実家は、川口で50年の歴史を持つ木型の町工場。
幼いころから「川口のものづくり」が身近な環境で育ち、ご自身もものづくりの道に進まれました。
"川口のものづくりの火を絶やさず、次の世代へ"
小松さんの、川口への想いと描きたい未来についてお伺いしました。
Q1.どんなお仕事/活動をしていますか?
坂道を可愛らしく歩くどんぐり帽子の木のおもちゃ「どんぐりころころ」
積木をトラックの積荷にして遊ぶ「Tuminy(ツミニー)」
かわいらしい赤い外観が目印の「こまむぐ」
ショップ・カフェ・工房・木育スペースを備えています。
実家は川口で50年の歴史を持つ木型の町工場、川口の「ものづくり」に育てられました
「株式会社こまむぐ」では、主に木製玩具の製造・販売を行っています。
領家にある本社には工房のほかにカフェやショップ、木育スペースが備わっており、木のおもちゃが作られている様子を間近に見ながらゆっくりとお過ごしいただける複合施設になっています。
こまむぐは川口の「ものづくり」から誕生した会社です。
実家は川口で50年の歴史を持つ木型の町工場で、生まれたときから「ものづくり」が身近な環境で育ちました。
自宅の1階に工場があったので、子どもの頃は遊びに行って、端材を使って遊び道具を自分で作ったりしていましたね。
同級生は新聞紙を丸めた剣で遊んでいるのに、自分は手作りした木製の剣で遊んでいたりとか…。
もちろん危ないので、友だちとではなく、家の中で兄弟と遊ぶときに使っていましたよ。
母方の祖父母も金型屋を営んでいたり、当時は通学路沿いに鋳物屋さんがあり、窓を覗き込むと職人さんが作業している風景が見えたりしたんです。
「ものづくり」を間近で見る機会が多かったのもあり、自然と「ものづくりってかっこいいな」と感じるようになっていました。
その後、父に次ぐ3代目になるべく家業に入ったのですが、長引く不景気で取引先である鋳物工場が次々と廃業し、実家の工場の仕事も徐々に減っていきました。
そんな中、入社して1年ほど経ったある日、父から「外に働きに出るか、独立して自分で新しいことを始めてみるか、今後のことを考えてほしい」と言われたんです。
実家の工場に入った時点で、「ゆくゆくは家業を継いで自分で商売をしていくんだ」という意識があったので、外に働きに出る選択肢はありませんでした。
23歳のときにおもちゃ作家として独立し、おもちゃ工房を立ち上げました。
それが「こまむぐ」の始まりです。
現在は、おもちゃのデザインやスタッフへの指導、量産するための仕組みづくりなどの業務を主に行っています。
Q2. 大切にしていること/こだわり
「こまむぐ」の2階にある木育スペース
こまむぐのおもちゃで自由に遊んでいただける無料スペースです
子どもたちの想像性(創造性)をじゃますることなく、かついつもそばにいたくなるような存在となるよう、柔らかで素朴な表情に仕上げています
想像性(創造性)を育み、ずっと子どもたちの中に残る「原体験」を生み出せるようなおもちゃを作りたい
大切にしていることは、子どもの想像性(創造性)を育むおもちゃを作ることです。
想像性(創造性)って、大人になってからすごく求められるものだと思うんですが、その基盤を作るためには、子どものころにどれだけたくさんの経験を積み重ねられるかが大切だと思うんです。
そのため、わたしたちが提供するおもちゃは子どもたちが持つ自由な発想を最大限に引き出すため、シンプルなデザインの中にも子どもが夢中になれる明確な遊びの要素を入れる、ということを大切にしています。
その遊びが自然と子どもたちの想像性(創造性)を育み、子どもたちの中にずっと長く残る「原体験」を生むようなおもちゃにしていきたいと思っています。
あとは、スタッフや職場環境も大切にしています。
ベタですけど、働いてくれているスタッフがやりがいを感じてくれていたり、「楽しいな」「この会社が好きだな」と思ってもらえるにはどうしたらいいだろう、といつも考えています。
ものづくりの道に進みましたが、実はぼく、ぶきっちょなんですよ。
おもちゃづくりに関してはスタッフのみんなの方が上手で、ぼくが入ると邪魔になっちゃうかなと思うくらいで。
そんな風に、自分より長けているものを持っている人がすごくたくさんいるので、それぞれの個性が活きる場作りをしていきたいなと思っています。
1つひとつ丁寧に磨き上げ、柔らかい触り心地に仕上げています
日本全国の工房から集めたカップ、お気に入りを探してみてくださいね
川口のものづくりを次世代にしっかりと繋げていきたい
また、川口のものづくりを次の世代にしっかりと繋げていくことも意識しています。
自分の原体験として、幼少期からものづくりがすごく身近にあったからこそ現在ものづくりの道に進んでいるのだと思うんです。
次の世代に繋げるためには、今の子どもたちがものづくりに触れられる機会を作っていく必要があるので、こまむぐをそんな場所にしたいと考えています。
例えば、こまむぐにはカフェが併設されているのですが、カフェから工房の様子が見えるような作りになっていて、こまむぐのおもちゃが作られている様子を実際に見ていただくことができるんですよ。
工房見学も定期的に実施しています。
また、カフェでは全国各地の職人さんが手作りしたカップを揃えるなど、目で見て、実際に触れて、ものづくりを身近に感じられる場にしています。
ものづくりをどう次の世代に残していくか、というのは今後も意識して大切にしていきたいですね。
Q3. 川口のココが好き!!
川口は働きやすい街!誇れるものもたくさんありますよね
川口は事業をしやすい街、働きやすい街だと思います。
アクセスがいいというのもありますし、商工会議所などを始め、事業者に対する支援が手厚いなと感じています。
あとは、誇れるものがたくさんあるなと思っていますね。
例えば、市外で食事をしていても「これ、川口のあのお店のほうがおいしいな」と思うこともあったり。
自慢できる会社さんやお店、ものが多いところが川口の好きなところですね。
Q4. オススメのお店・場所
自分にとって特別な景色が見える場所
川口で好きなお店、たくさんありますよ!
飲食店でいうと、ベーカリーの「デイジイ」さん、「ステーキやるじゃん」さん、「Bar掌(たなごころ)」さんや同じくバーの「Milwaukee's Club」さんにもよく行きます。
あとは「中華ダイニング 煌璃(きらり)」さんも好きです。
好きな場所でいうと、浦和方面から川口へ行く国道122号線の西新井宿付近(地図参照)で、一瞬なんですが川口の街が見渡せる場所があるんですよ。
あそこが好きですね。
おもちゃの製造と販売を始めたころ、日本全国を営業のために飛び回っていたことがあって。
軽自動車におもちゃをパンパンに詰めて、車中泊をしながら飛び込み営業をして、おもちゃがなくなったら川口に戻って製作して、また車に詰めて営業へ…という生活を送っていたんです。
そんな生活の中で、外から川口に戻ってきたときにその景色が見えると、「ああ川口に帰ってきたな」と安心できました。
今でも、そこから見える川口の景色は自分にとって特別ですね。
Q5. 今後の目標
ものづくりの街である川口に育ててもらったこそ、川口のものづくりの火はなるべく絶やさないようにしていきたいです。
「川口」といえば「こまむぐ」と連想できるくらい存在感のある会社に
今後の目標は、コマや面子のように、誰が作ったか分からない「伝統玩具」になれるようなおもちゃを作ることです。
これからの時代は昔と違って残せるものがたくさんあるので、ルーツが分からなくなるということはないと思うんですけど、イメージとしてはそのくらい世の中に知れ渡っているものが作りたいなっていう風に思っています。
あとは、「川口」という地名から「こまむぐ」が連想できるくらい、川口でしっかり存在感を示せる会社になりたいですね。
「川口といえば、〇〇があるよね」という感じで、例えば海外の人がこまむぐをめがけて川口に来てもらえるようになったら、それだけでも川口に貢献できていると言えると思うんです。
「川口」から「こまむぐ」という名前が連想できるくらいすごいすごい有名になって、存在感のある会社に、そして川口に貢献できる存在になれるようがんばっていきたいですね。
あと、個人的には55歳で会社を次の世代に継いで、個人事業主に戻って作家になりたいなと思っています。
そもそも作ることがすごい好きなので。
プロダクトとなると安全性を含めていろんな制約がかかってきますが、自分の作品だとあまり関係なくなるので、自由にものづくりを楽しむ時間も作っていきたいなと思っています。
こまむぐ
木のおもちゃ工房・カフェ
子どもから大人まで みんなの笑顔と癒しを作る木のおもちゃ屋さん
川口市領家3-10-2
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。