8番出口にみる福祉のあり方【施設長の独り言シリーズ(障害者施設)】
社会福祉法人 ひふみ会
皆さんは「8番出口」というゲームをご存じでしょうか。
ゲーム実況などで話題となり、現在、二宮和也さん主演で映画が公開されています。
どんなゲームかというと、地下鉄の通路を延々と歩き続け、違和感に気づけるかどうかを試される、不思議な体験型ホラーゲームです。
通路は何度も繰り返されますが、あるとき看板の文字が少しおかしかったり、人の歩き方がぎこちなかったりと、ほんの小さな異常が紛れ込んでいます。
その違和感を見抜ければ先に進めますが、見逃してしまえば元に戻されてしまう。
プレイヤーは注意深さと観察力を問われ続けるのです。
一見すると娯楽に過ぎないこのゲームですが、福祉のあり方にも通ずるものがあると思います。
福祉の現場でも違和感に気付けるかどうかがとても大切だからです。
たとえば地域の中で暮らす高齢者や障がいのある方、あるいは経済的に困難を抱える家庭。
日常の中でふとしたサインが現れることがあります。
例えば「最近、あの人は急に痩せてきた」「ゴミ出しの曜日を間違えることが増えた」「子どもの声が聞こえなくなった」など、それらは大きな事件ではないかもしれません。
しかし小さな変化をそのままにしてしまえば、本人や家族が出口を見失い、孤立の深みに沈んでいってしまうことがあります。
福祉は行政の制度や専門職の支援によって成り立っていますが、その前提にあるのは、地域の誰かが小さな異常に気づくことだと思います。
おかしいな、と感じたときに声をかける勇気、話を聞く余裕、支援につなげる姿勢。
そうした一人ひとりの行動が、制度と人をつなぐ橋渡しになります。
8番出口の通路は単調で、同じ光景が繰り返されます。
だからこそ人は油断して見逃してしまうのです。
私たちの暮らしも同じです。
毎日のご近所づきあいや仕事、買い物や通勤通学。
その繰り返しの中にこそ、誰かのSOSが隠れています。
いつもと同じように見える景色の中で、小さな異変を見落とさない視点を持つこと。
それが地域の福祉の第一歩なのだと思います。
また、ゲームでは異常を正しく選び取らなければ出口にたどり着けません。
現実の福祉も同じです。
見当違いな支援や押しつけの関わりは、かえって本人を追い込むことがあります。
大事なのは、本人の声に耳を傾け、その人にとっての出口へ向かう道を一緒に探すことです。
私たちが気づく違和感はあくまできっかけであり、そこから先は対話と理解が必要になります。
8番出口に登場する異常はときに恐ろしいものとして描かれますが、現実の小さなサインは必ずしも恐怖ではありません。
むしろ気づいたときに「自分に何ができるだろう」と考えられるかどうかが、優しい社会をつくる鍵になります。
川口市のまちでも、高齢化や子育て、障がい、貧困など、さまざまな課題を抱える方々が暮らしています。
大げさに考える必要はありません。
挨拶を交わす、声をかける、ちょっとした違和感を見逃さずに相談先を紹介する。
そんな小さな一歩が、地域に安心を広げる力になります。
「違和感に気づけるかどうか」という問いかけを私たちに投げかける8番出口。
あのゲームの出口がどこにあるのかはプレイヤー次第ですが、現実社会の出口は一人では見つけにくいものです。
だからこそ、私たち一人ひとりが観察者であり支援者である意識を持つことが求められています。
日常に潜む小さな変化を見逃さず、安心して暮らせる地域をともに築く。
その積み重ねが、誰もが迷わず出口にたどり着ける社会につながっていくのではないでしょうか。
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