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夏休みの宿題にみる福祉のあり方【施設長の独り言シリーズ(障害者施設)】

社会福祉法人 ひふみ会

夏休み最終日。
鉛筆を片手に半泣きになりながら宿題を片付ける子どもの姿は、もはや日本の夏の風物詩といっていいかもしれません。
真っ青な青空にセミの声、積みあがったプリントの山を見て「来年こそ計画的に終わらそう」と強く決意したはずの去年の自分を思い出して、なんとも言えない気持ちになります。

この夏休みの宿題を巡るドタバタ劇。
実は福祉の視点で考えると、なかなか奥が深いテーマです。

まず浮かび上がるのは「多様性」。
スタートダッシュで7月中に宿題を終わらせる子、コツコツと毎日少しづつ進めていく子、そして8月31日に奇跡の集中力を発揮し、涙と鼻水にまみれながらギリギリで終わらせる子、終わらせることを諦めて先生になんて言い訳しようか考える子など様々です。

大人の世界でも、資料を1週間前から準備する人もいれば、締め切り30分前に鬼のようなスピードで仕上げる人もいます。
ちなみに自分は後者です。
どちらも社会を構成する大切な存在であり、やり方の違いこそ多様性です。

そしてもう一つは「共助」。
最終日、子どもが必死になって宿題をする横で、親が答え合わせを手伝ったり、兄弟が自由研究の工作をサポートしたり、友達同士でノートを見せ合ったりする光景は珍しくありません。

ここには「困った時に助け合う」という人間らしい営みがあります。
誰もが自分一人で完璧に生きていけるわけではなく、誰かの手を借りながら進んでいく。
それは恥ずかしいことではなく、人が人らしく生きるための自然な姿なのです。
宿題を最終日に終わらせる子がいるからこそ、友達が「ここはこうだよ」と教えてあげる場面が生まれます。
つまり困る人がいるからこそ助ける人が現れるのです。

福祉も同じで、弱さや不完全さがあるからこそ、支えあいの関係性が育まれます。
もし全員が7月中に完璧に宿題を終わらせてしまったら、共助のチャンスが激減してしまうでしょう。
また、「そんなに早く終わるなら」と宿題を増やされてしまうかもしれません。
そう考えると、夏休みの宿題を最終日に慌ててやる子は、実は「共助の種」を蒔いているのと同時に宿題量のバランスを取ってくれているのかもしれません。

多くの人は宿題を早く終わらせることが正解だと思いがちですが、実はそう単純な話ではありません。
大切なのは、どんなやり方であれその違いを認め、必要な時は自然に助け合えることです。
夏休みの宿題という小さな出来事の中に、社会の縮図と福祉の本質が隠れているのかもしれません。

もしあなたが子どもの宿題に振り回されることがあったら、「これは単なる宿題ではない。多様性と共助を学ぶ立派な福祉教材だ」と思ってください。
そう思えば最終日の慌ただしさも、子どもより親の方が必死になって宿題をやっつけている謎の状況も、少しだけありがたく思えてくるかもしれません。
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